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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 大妃はチマの裾を蹴立てるように荒々しく立ち上がった。
「良いか。そなたは既に主上のご寵愛を賜ったことになっておる。主上のものとなったそなたがこの後宮から勝手に出ることは認められぬ。女なら誰もが欲しがる后の座をまんまと射止めたと申すに、そのように涙を流してまで拒むとは、つくづく身の程知らずの情の強(こわ)い娘だ」
 吐き捨てるように言い残し、大妃は部屋を出ていった。

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