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そして僕等は絡み合う

第2章 宮脇 詞の場合

唇を噛んでると


「まっ!お互いに子どもじゃないんだから、気にしないでいいんじゃない。」


何も無かったかの様に、高橋さんは服に腕を通す。


そんな簡単に、言ってのけちゃう事なの…。


昨晩の高橋さんへ少し沸いた尊敬が、一気に壊されていきそうで悲しくなる。


「宮脇ちゃん、食べよ!コーヒー淹れていい?」


「はい…どうぞ…。」


私は、気が抜けた声でインスタントの粉を渡す。


「サンキュー!柴多さん、間に合うのかね~。爆睡だよ!」


「遅番だから…10時くらいに起こしてあげて…。食器は流しに置いたままで、いいから。」


「ほ~いって、宮脇ちゃんもう行くの。」


イラッとする。


自分でも、この感情が何なのか解らない。


「鍵は柴多に、渡して!」


言い捨てる様にそう言って、トーストをくわえて、仕事に向かった。

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