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そして僕等は絡み合う

第3章 西垣 静湖の場合

私がリクエストした、和牛ステーキを扱ってる店に移動する。


お店は同じ駅だけど、ゲーセンからはかなり歩いた、街中から離れた静かな場所だ。


閑静な佇まいが、何だか私たちには、まだ敷居が高い気がした…。


若僧二人に、案内係の人はもの凄く丁寧に席まで案内してくれた。


「こちらへどうぞ。」


ニッコリと笑い、私はまた椅子を引いて貰った。


「有難うございます…。」


座った途端、人見さんはメニューも見ないで


「四季のお奨めコースで。」


お奨めコース!!


なっ…いくらすると思ってるのよ!


「えっ!私、肉だけでも良かったよ!」


「肉だけなんて、つまらないですから…。」


「でも……。」


どうしよう…まさかカラオケの罰ゲームだったり…。


今日財布の中、5千円くらいしか無いんだけど!


ソワソワしてる私に、人見さんは


「…ちゃんと奢りますよ。これで、こないだのは許して貰えますよね…。」


目を細めて言う人見さんの口調は柔らかった…もしかして、笑ってる?

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