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そして僕等は絡み合う

第2章 宮脇 詞の場合

それからは、無我夢中だった。


「俺の肩に手を掛けて。」


「視線はあの太い木の方に。」


「足をここに載せて。」


自分のポージングがどうなってるか想像も付いてないが、高橋さんの言われるままにしておけば良いんだと、妙な信頼感が沸いてくる。


だって…高橋さんの指示通りにする度に、スタッフの感嘆の声が聴こえたから…。


そして今は、宮脇詞としてより愛すべき服たちをカッコ良く輝かせる、表現者であれば良いんだと。


ブランドを代表としての…これが私のプライドだった。


どれだけ時間が経ったか、解らないが


「はい!オッケー!二人とも良かったよ~!」


との声に我に返った時には、私の両腕はしっかり高橋樹の首に、しがみ付いていた。 


「宮脇ちゃん、やっぱり惚れたろ!」


「惚れるか!!」


何でぇ~!?

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