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そして僕等は絡み合う

第2章 宮脇 詞の場合

前回の撮影の経験を活かして少しは何とかしようと思ったけど、ドレスなんて着た事ないから少し動くだけでもぎこちない。


「適当に目線流して、俺にしがみ付いてればいいから。」


と、高橋さんが言うが


「嫌だ~。」


「はぁ~!仕事だろ!」


「だって聞いてないよこんなの!せめて一言、何か言っておいてくれたら良かったじゃん。」


「言って素直に、了承すると思えないんだけど…。」


「うっ…。」


確かに、それでも余りに騙し討ち過ぎるじゃない。


単純に悔しい。


「主役は服なの!服を着たくなる様に魅せる事だけ考えろ!それが詞のプライドだろ!」


「あっ…。」


そうだ…主役は服だよね。


何か、急に胸の奥にカチッとスイッチが入った。

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