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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 タリムの瞳に涙が溢れた。無念だった。ここで、この尊大で恥知らずの男を殺す―、いや、相打ちになっても、それで本望だったというのに、自分はあまりにも非力すぎた。男を殺すどころか、自分の息の根を止められてしまうことになるとは!
「いや国を滅ぼしたのは、そなただ、タリム姫」
 男は姫の手を掴んだまま、無表情に言った。
「私が何をした!」

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