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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 男に掴まれた手首が熱と痛みを帯びている。タリムは痛みに顔をしかめた。それを見た男が力を緩めたのか、手首がわずかに楽になった。
「そなたさえ、ハーンの求めに応じれば、そなたの父も民も死ぬることはなかったはずだ」
 男は相変わらず何の感情も感じさせない、抑揚のない調子で言う。先刻までのおどけたような男とは別人と化していた。

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