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身代わり妹

第14章 誕生

夜やシャワーの時など希望すれば新生児室で預かってくれるけど、この病院は母子同室。

完全個室だから気は楽かな。


私の体力が回復するまで優太を預かってくれるって言われたけれど……

「優太ぁ、お前は俺にそっくりだなぁ」

凌太が優太を離さず、病室にいる。



「あ、あくびした! ちっさい口だな。歯がないーっ」

優太の全てにいちいち大興奮の凌太。

笑いを堪えるのに必死だよ。



「凌太は眠くないの?」

昨日の夜に始まった陣痛。

明け方に生まれた優太のお産で、私も凌太も寝ていない。


「興奮して寝れない」

あ、ようやく凌太の目が私に向けられた(笑)


「私も。全然眠くならない」

ようやく重なった視線。


そして、唇が重なる。


「美優…頑張ったな。優太を無事産んでくれてありがとう」


凌太からの優しい言葉に、返事よりも先に涙が溢れてきて頷くのがやっとだった。


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