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身代わり妹

第14章 誕生

「凌太……」

真っ青な顔をした美優が戻ってくる。


「どうした?」

美優の表情に、心臓がバクバクと騒ぎ出す。



「……出血してた」

「え⁉︎ 」


出血?

早産⁉︎

いや…37週なら正産期だろ。


じゃあ何だ?

産科へ行った方がいいのか?

いや、でも……。


あ! もしかしておしるしか?



「痛っ、また痛くなってきた」

そう言ってまた蹲る美優。


「美優っ、大丈夫か? 病院行く⁉︎ 」

オロオロと美優に触れるだけの俺。

─────情けない…。



「凌太”先生”っ‼︎ しっかりしなさい」

ドンッと突き飛ばされ転がる。


「ちょっ……母さんっ‼︎ 」

慌てて起き上がった俺を無視して、母は美優の腰を強く摩っていた。


「凌太、時間計ってメモ取って」

「あ……」

俺は急いで腕時計を見て、その時間を書き取っていった。



「凌太の父親もね、凌太が生まれる時にオロオロしちゃって! 痛みでイライラしてたせいもあって私、怒鳴りつけてたのよ」

母が笑えば、美優も力なく笑顔を返す。


「ちょっと落ち着いた? 先は長いからね。おにぎり作ってくる」

そう言って母は寝室を出て行く。


途端に不安になり、美優と2人、母に着いてキッチンへと降りた。



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