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身代わり妹

第7章 喪失

はぁー…

時計を見つめ、ため息を吐き出す。


夫と自分の2人分の夕飯が並ぶテーブル。

今日も凌太はいない。


最近は、毎日のように医大時代の同級生と会っている。

あちこちの病院で働く同級生に、美優の事を聞いて回っているようだ。


毎日ガックリと肩を落として帰ってくる様子を見れば、今だ有力な情報がないのだろうと察しがつく。



あの日、
事務長が説得を続け、美優の母親は清掃の仕事をやると納得をした…

─────筈だった。


だが、

「こんな汚い仕事出来ない!」

と一日…いや5分ともたなかったのだ。


その後は働きもせず、

中から鍵をかけ、寮に居座っている。



ねぇ、美優…

こんな現実、辛かったよね?

ここまで酷い人だなんて…わかってあげられなくてごめんね。


美優、今どこにいるの?

元気で頑張ってる?

ちゃんとご飯、食べてるかしら……?


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