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身代わり妹

第7章 喪失

<side 由美>


凌太からの連絡を受け、寮の管理を任せている事務長と共に、急いで寮へと向かう。


美優の部屋には、美優の母親がいた。

外まで聞こえるような声で、凌太と押し問答している。


「ここに住む!」

凌太の言葉に一切耳を貸さず、もうずっとその一点張りの美優の母親。

そんなワガママ、通る訳ないのに…

親子程歳の違う凌太相手に、ワガママ放題。

実の娘にお金を集るくらいだから、いろいろな感覚は違うのかもしれないけど……



「あなたがいる限り、美優は戻ってこない」

説得を続ける凌太の前にずいっと進み出た。



「……あんた、随分と美優を可愛がってたらしいね。美優を洗脳しただろ⁈ 」

美優の母親は私を睨みそう言った。


─────洗脳?

美優が姿を消してもまだ自分のしてきた事を反省出来ないのね。

美優の哀しみが伝わってくる気がした。


「私と美姫ちゃんに一円も残さず消えやがって……私はそんな娘に育てた覚えはない! あんたが美優を薄情な女にしたんだ!」

責任とって大学病院の入院費を払え……美優の母親が放った言葉に、もはや憐れみすら感じた。



─────育てた覚えはない?

あなたのどこが美優を育てたというの?



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