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身代わり妹

第7章 喪失

美優の寮の部屋はそのままにしてある。


鍵を置いて出て行った美優。

帰ってきて困らないように、鍵は開けてあった。



「─────っ⁉︎ 」

美優の部屋に電気が付いているのを見つけた俺は、全速力で走り出していた。


バンッ

「美優─────っ⁉︎ 」

勢いよくドアを開け、靴を脱ぐのももどかしいくらいの勢いで部屋に入る。


「凌太さん⁈ 」

……そこに居たのは、

─────美優の母親…だった。


「な、んで……ここ、に?」

絶望感が心を覆い、声が上手く出せない。


「酷いのよ! 大学病院は私を美姫ちゃんから引き離して、しかもこんな寒くて暗い中追い出すのよ⁉︎ 」


何度も夜の付き添いは許可出来ないと言われているのに、美優の母親には通じないらしい。


「だからってここは美優の為に空けてある部屋で……」

「美優は私の娘よ! 娘の部屋に母親がいて何が悪いの⁉︎」

俺の言葉を遮り怒鳴る美優の母親。


─────…娘?

都合のいいときだけ娘かよ?



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