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身代わり妹

第7章 喪失

美優が姿を消して一週間が経った─────…



思い当たる知人友人に聞いた。

思いつく場所、全て探した。

尽くせる限り、手を尽くした。


───なのに、

美優は一向に見つからない。



今日は、本来なら美優が検査入院する日……。


「……やっぱり来ないか」

約束の時間を1時間過ぎても、美優は現れなかった。


(でも……体調が悪くてどこかに入院してるかもしれない)

そう思い立ち、あちこちの病院に美優を訪ねて電話をした。


個人情報の壁─────。


これと言った情報は手に入らない。



「あのお母さんと美姫さんから逃げ出したかったんだよ。9年間も働き詰めだったんだから…少し美優を自由にしてやろうよ?」

母の言葉に俯く。



……俺は美優を救ってやれなかった。


あの美優が、自分の身体を売ってまでして自由を手に入れたかったなんて気付けなかった。


逃げ出す程に辛かった事に気付いてやれなかった。



俺は……美優にどうしてやれば良かった?




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