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身代わり妹

第7章 喪失

諸田さんと残っていた受付の人も手伝ってくれ、田口という男のカルテを探し出す。

そこにあった住所に、母と訪ねた。



「は? 美優? あー…ああ、土曜に大金稼がせてやったよ?」

寝起きなのか、ボサボサの頭に無精髭の男が顔を出した。


「美優に何させた⁈ 」

聞きたくないのに聞いてしまう。

俺の声は掠れ震えていた。


「本人が望んだんだ。たくさん金が欲しいって悦んで腰振ってたぜ?」

口の端を上げ、馬鹿にしたように笑う田口。


「……っ」

振り上げそうになる拳を必死に押さえた。



「男どもの欲情に穢された美優のドロドロの身体……最高に綺麗だったぜ。お前も仲間に入りたかったのか?」

「誰がっ‼︎ 」

「凌太‼︎ 」

振り上げた俺の腕に、母がしがみつく。



「したたかな女だな。大金手に入れてトンズラしたかったのか」

そう言った後、田口は嘲笑うかのような視線を俺に向ける。


「エリート医師が初めての失恋か?

それとも美優に金でも騙し取られたかぁ?」


「─────っ‼︎」

母の腕を振り解き、田口の胸ぐらを掴む。


「凌太‼︎ 今殴ったら、美優がそんな女だって認める事になるのよ⁉︎ 」


─────違う。

美優はそんな女じゃない。


田口に向けて振り下ろした拳は、ギリギリの所で母の声に止められ、俺の心と共にダラリと落ちた。


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