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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

「簡単に焼きそばだけど、いい~?」


「あぁ…サンキュー。」


皿に持った焼きそばを小さなテーブルに置く。


「土屋は、書く時に…何かテーマ持ってとか訴えたいものとかあって、描いてるの?」


ビールの缶を開けようとしていた土屋は


「はぁ~?どうしたの。」


「ちょっとな…コンクールで受賞したいんだろ。」


「そりゃね!趣味でやるために東京まで来た訳じゃないしね。」


確かにな…。


「いただきます。」


「は~い!」


濃いめのソース焼きそばを頬張りながら、話を続ける。


「俺は…そん時描きたいもん、描ちまうんだけど。」


「ぷっ!理想はね!描きたいもの描いて売れたいわよ誰だって。」


何だか達観した、もの言いだな。


「オマエは描かないの?」


「描ける自由を手に入れたらね!」


「自由…?」


「それまでは審査員を調べて好みに合わせるわ!」


随分と、合理的だな…まっ、土屋らしいのかもしれないけど。

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