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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

個展も好評だったのを機に、小さな祭場だや、ギャラリースペースを借りて、展示する機会を増やしていった。


ホームページに日程などを載せていたので、ちょっと足を延ばす所にも、渡辺香織は顔を出して来た。


大抵、安岡は手伝ってくれていたから


「渡辺さん、いつも有り難うねぇ~!」


ご機嫌で、相手をする。


「私こそ、追っかけみたいですみません。」


照れくさそうに言って、毎回差し入れ等してくれたけど、彼女の場合はうざったくなかった。 


俺も安岡も、彼女の気持ちは察してはいたが、距離感を保っててくれてたし、何より絵に関しては恋愛感情抜きに真剣だったから。 


気に入った作品も、何点か買ってくれている。


「渡辺さん、今日終わったら一緒に飯食べに行かない?」


安岡はチラリと俺を見た後、彼女の答えを待つ。


たく、勝手に決めやがって…でも、そんな安岡のお節介も悪い気はしなかった。

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