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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

彼女はシエロに目を移し、絵の中に引き込む様に語り出す。


「『Cielo verde』って…イタリア語で緑の空ですか?」


へえ~。


「…調べた?」


「はい…気になって…。」


そこまでするとは、思わなかったな…。


それが絵に対してか、俺に対してかは解らないが、作品を通して知ろうとしてるのが、少し胸を突いた。


「ふ~ん…。」


自然に、口元に笑みが浮かぶ。


更に彼女は、言葉を続けと


「この作品に、何色使いました?少なくとも15色くらいですかね?後、空のようで、また他のものにも見える部分が、ここと…ここと…。」


あぁ…この子、本当に勉強してきたんだ。


こんな微妙な色合いを見分けた。
素人が、普通そこまで観ないだろう、単なるグラデーションにしか見えないし。


そして…


「凄い優しい、色使いしますよね…。誰かの為に描いたのかもしれませんが、先日…須永さんがポストカード下さった時、何かこの作品そのものかなって…思ってしまって…。」



衝撃が走った。

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