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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

トックン…。


また、一滴落ちた。


「…あっ…いらっしゃい…シエロの子だよね。」


「は、はい。渡辺です。最終日近いから、もう一回観たくて。」


照れ臭そうなに、俺を見る。 


トックン!


滴が…拡がる…。


「そっ、誰もいないし、ゆっくりしてって。」


素っ気なく言って、視線を外す。


「ありがとうございます。」


それでも彼女は、何か嬉しそうだった。


そして俺も…なんだか胸がくすぐったく感じる。


彼女は、また一点ずつジックリ観始める。


作品を観る眼は、真剣だ。


さっきまでの表情とのギャップに少し心惹かれ眺めてると…シエロの前で佇む。ちょっと、話してみるか…。


紙コップにペットボトルからお茶を注ぎ、彼女に持って行く


「やっぱりシエロ、気に入ってくれてるの?」


紙コップを差し出しながら話しかけると、彼女は一瞬ん目を見開き、少し赤くなりながら


「は…はい…。」


「何で?」


知りたかった…彼女の気持ちを…。


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