テキストサイズ

不器用なタッシュ

第4章 シエロ

個展も最終日に近くなった。


所詮無名なアーティスト、凄い混むこともなくパラパラとしか入って来ない。


「誰か待ってんの?」


「あ~?何で。」


安岡に聞かれたのに意味が解らず聞き返した俺に、ニヤニヤしながら


「だって、最近やたらドアの方チラチラ見てるじゃん!」


ドキンっ!えっ!?


何だこの感覚…。


「土屋とか?あ~でもメールが来るか…だとしたら~。」


「誰も待ってねぇよ!」


色々憶測して、人で遊ぶなよ!


「はいは~い!俺ちょっとコンビニ行ってくるわぁ~。」


まだニヤニヤしてやがる…そんなに俺、チラチラ見てたか?


誰も居ないな…ひやかしみたいに女どもに囲まれるよりかは、いいけど…。


その時だ。


「こんにちは…。」


ドアを恐る恐る開けて入って来たのは…シエロ…


渡辺香織だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ