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不器用なタッシュ

第8章 決意

三人で在来線に乗り換える。


「きなこに会うのも久々だな…」


兄貴が猫の話をし出した。


「あぁ…そうだな…」


つい甘やかしてしまう程、可愛がったきなこを思い出すと、自然と顔が綻ぶのが分かる。


「きなこちゃんかぁ~!楽しみ~!」


「嘉之、キナコにベタ惚れだもんな!女の子にもキナコくらい優しくすれば、彼女くらい出来んのに~」


事情を知らない兄貴は、あっけらからんと言い放つ。


俺は無関心を装って、携帯を弄りだす。


そんな兄貴と俺を交互に見る元木は、不思議そうにしていた。


「嘉くんは…ずっと、気になる人でも居るんじゃないの~?」


ドックン!


「えっ!本当かよ!嘉之教えろよ!」


ドックン!ドックン!


「言えない…まだ……」

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