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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

展覧会の後から、渡辺香織の言葉ループする。


『憧れなんです…ダリとガラは…常に一緒にいたんですよ。』


ずっと一緒に居る事に、憧れてるのかな…。


『死だけ不変の愛を止める…。』


ゾクリと、身体に甘い快感にも似た感覚が走る。


『不変な愛』なんて、有り得ないだろ。


少なくとも俺には、無縁だな。


でも、彼女は憧れてるんだ。


トックン…トックン…。


モノクロームな世界が、一気にカラフルに描かれる。


俺の奥底から、欲求か迸り始める。


『欲しい…あの愛情…。』


「なっ…無理だ!」


『手に入れてしまいたい…。』


もう一人、どうしようもなく貪欲な俺が叫び始める。


そして…シンクロする。


彼女…『渡辺香織』を手に入れろと…。

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