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秘密の派遣業務

第38章 矢崎部長の告白

それからは矢崎もその話には触れず、何事もなかったかのように紗江を食事に連れて行った。

泣き顔の紗江を考慮したのか、矢崎は紗江を料亭の個室に連れて行った。

大人の落ち着きで大きく紗江を包むような温かさが矢崎にはあった。

(…直哉さんとこんな風に出かけた事もないよ…)

思えば桐沢との思い出はあの研究所だけだった。
それが…現実だった。

だけど…
今こうして…矢崎部長と2人で居る。
自分の意志で行動出来る…

これが…本来の現実なんだ…

落ち着いた部屋で矢崎と料理を味わいながら紗江はやっと、桐沢の言葉の意味を真剣に考え始めたのだった。

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