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秘密の派遣業務

第38章 矢崎部長の告白

矢崎「…会えない恋人を想うより…目の前にある幸せに手を延ばすのは悪い事じゃないと思うぞ?」

紗江「っ…」

この時紗江は思い出していた。

それは島に居る時に桐沢から言われた言葉だった。

『会えない俺を想って哀しい顔をさせるよりは…何もかも忘れて新しい人生を笑顔で過ごして欲しい…』

(確かに…直哉さんはそう言った…。)

『待たなくていい。』

(そう…言った………っ!)

涙が溢れて止まらない。

紗江「…っ…ぅ…ぅっ…」

泣き出した紗江を矢崎は優しく抱きしめる。

矢崎「…ゆっくり…考えてくれ。返事は…急がない。」

今は矢崎に抱き締められている事よりも、桐沢の言葉の意味を知って紗江は悲しかった。

(…直哉さん…こういう…意味だったの…?)

今はもう何も考えられなかった。



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