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紗江が部屋に荷物を取りに行き桐沢と研究所の出入口に向かうと、既に全研究所員がそこに居た。

紗江「…あっ…みなさん…」

所長「みんなで見送ろうってね。」

温かい目が紗江に集まる。

紗江「…ありがとうございます…」

紗江はそう言ってニッコリ微笑んだ。

(…泣かないって…決めたから…。笑顔でさよならを言いたいから…)

所長「…みんなで桟橋まで行くよ。」

桐沢が紗江の荷物を持って、反対の手で紗江の手を握り締める。

その手はギュっと痛いほどの力で握りしめていた。
桐沢の想いを伝えるかのような力強さだ。

(…離したくないって…思ってくれてるんだよね…？)

紗江もまた桐沢の手を強く握り返した。