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秘密の派遣業務

第34章 最後の夜〜桐沢の愛〜

紗江「…どう…して…」

声が震えた。
聞きたくない言葉を言われる予感に怖くなる。
でも聞かずには居られない。

桐沢「…俺はいつここを出れるか…わからない。何年も先になるかも知れない。だから…待て…とは言えない。」

紗江がショックを受けているのが痛いほどに伝わってくる。痛む胸を堪え桐沢は言葉を続けた。

桐沢「…だから、もし紗江に新たな出会いがあって…そいつが紗江を幸せにしてくれるなら…俺に気を遣わずそいつと幸せになれ。」

紗江「そんな…っ!私は…っ…」

涙が溢れた。これは哀しい辛い涙だ。

(そんな言葉は…聞きたくないのに…)

紗江「…私の気持ちも…変わらないよ…」

必死に言葉を紡いでいた。

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