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(…紗江…)

心の中で名前を呼んだ。

今にも泣きそうな顔で必死に笑顔を作る紗江に胸に秘めた想いを伝えたくなる。

(…駄目だ…。言ってしまえば意味がなくなる…)

グッと堪え明るい声で話した。

桐沢「紗江の送別会をしようって話になってる。」

紗江「…え…送別会…？」

驚く紗江を優しく引き寄せた。

桐沢「みんな紗江には感謝してるんじゃないかな？紗江のおかげでチームの結束も強くなったし…。」

桐沢の言葉に複雑な表情をした紗江の顔を覗き込む。

桐沢「紗江が来る前と今では研究所の雰囲気から違う。」

紗江「…そうなの…？」

桐沢「ああ、そうだよ。」