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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第19章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花

「ご迷惑をおかけするのは承知で厚かましくお願い申し上げます。ほんの二、三日、私をここへ置いて頂けますでしょうか」
 男が布団から降り、改まった調子で頭を下げた。光円は微笑んで頷く。
「私どもは皆仏の子。互いに助け合うのがこの世の習いであれば、もちろん否とは申しませぬ。あなたさまが旅の途中にこの寺に立ち寄られたのも御仏のもたらし給うたご縁にございましょう。旅の疲れがとれるまで、ゆるりとご逗留なされませ」

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