テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第19章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花

 と、男は張り切った様子で応えた。
「お見受けたしたところ、この寺には男手はないご様子、この機会に薪割り、拭き掃除、掃き掃除、何でも致しますゆえ、何なりとお申し付け下さい」
「それでは、早速に薪割りをお願い申し上げても、よろしうございますか」
 光円が言うと、男は胸を叩かんばかりの勢いである。その様子は、まるで用事を言いつけられた子どもが胸を張って得意満面になるのにも似ている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ