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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女 

 ふいに熱いものが込み上げてきて、弥生は泣きそうになった。
 声もない弥生に、浩三が片目をつぶった。
「三時の汽車に乗って郷里へ帰ると言っていたな」
 それでもまだ茫然としている弥生に、浩三は真顔で言った。
「行きなさい。今、行かなければ、後悔するぞ」
 その言葉を合図に、弥生は走り出していた。

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