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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女 

 妹の後ろ姿を、浩三は窓辺で微笑んで見つめていた。そして、それまで妹が見上げていた空を一瞥し、嘆息した。
「降らなければ良いのだがな」
 と、軒下をこの季節には珍しい涼しい風が通りすぎていった。風は風鈴を揺らし、チリリンと澄んだ音色を響かせる。
 浩三はまた窓から身を乗り出して空を見上げた。

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