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　幸は黙って蒼い海を見つめた。繰り返す波、幾重にも連なる白い波頭。カモメが低く海面すれすれに飛行してゆく。浅瀬を魚影の群ががかすめていった。亮平の還っていった場所だ。
　その沈黙を破ったのは、やはり浩三であった。何も言わない幸に、浩三は腹を立てた様子もなく、今度は全く別のことを言う。
「今日は良い天気になりそうだね。こんな日は大漁なんだろうな」
　その言葉に、幸は初めて反応を示す。