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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

「どうやら、嫌われたらしいな。これでも昔から動物には好かれる性分なんだが」
 浩三を見て低い唸りを上げるくろを見て、浩三は苦笑する。が、すぐにおどけた表情は消えた。
「もう一度、君のことをもっともっと知りたいと切ないくらいに思っても、もうこの願いは聞き届けられることはないのだろうか」
 浩三が幸を見る。
 静かな波の音が潮騒の唄を奏でる。

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