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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



 家に帰りながら、香織は冷静になって考えた。

 本当なら、今すぐ家に帰ってこの状態をどうにかしたい。

 しかしこんな姿で帰ったら、間違いなく静江が大騒ぎするだろう。

 それに時間もまだ10時前だ。

 これでは、誰が見てもイジメられて帰って来たように見える。

 まぁ間違ってはいないのだが……。

 香織はイジメられてからこの1年間、両親にもだが、特に静江にだけは悟られる事がないよう、細心の注意をしてきた。

 前に一度だけ、母親には学校を辞めたいと告げた事はあったが、母親は理由も聞かず、あっさりと却下した。

 まぁ母親は前から全くといっていいほど、香織の事は無関心で、会社の事と買い物の事しか頭になかったので、却下された時は“やっぱり言っても無駄か……”としか思わなかった。

 しかし静江は違う。

 香織が学校を辞めたいなんて口にしたら、きっと色んな手を使って原因を突き止めるだろう。

 もし、原因がイジメだと分かってしまったら、それこそ何をするかわからない。

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