
1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第9章 思い出
みるみるうちに香織の顔が汚くなっていく。
「……」
香織は無言のまま、抵抗することなく、沙織に身を委ねていた。
「どうせ……どうせ腹ん中ではザマァミロって思ってんだろっ! えぇっ!? 何とか言えよっ! お前みたいな糞野郎にはトイレの床がお似合いなんだよっ! 梢に生きててすいませんって謝れ!!!!」
沙織は涙声でそう言いながら、掴んだ髪を上下に振って、何回も何回も床に顔を押し付けてくる。
香織は罪悪感でいっぱいだった。
自然と涙が溢れてくる。
直接手を下した訳ではないが、確かに梢は自分のせいで死んだ。
勿論、その事実を知っているのは香織だけなので、今沙織がしている事はただの八つ当たりでしかない。
しかし沙織に八つ当たりされる事で、少しは自分の罪が軽くなるような気がしたのだ。
