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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



 このトイレは、学校が建ってから、唯一改築の一切されていない建物で、よっぽどの事がない限り、誰1人足を踏み入れないような場所だった。

 その為、掃除などされている様子は全くなく、床は糞だか土だか分からない物で汚れており、あちこちに虫の死骸も落ちていた。

 臭いもかなり強烈で、ハンカチで鼻をふさいでも無駄な抵抗だった。

 この場から一刻も早く立ち去りたかった香織は、

「……あのぉ……話って何かしら?」

 と、おどおどしながら話をきり出した。

 すると沙織は、涙を浮かべながら、香織の胸ぐらを掴むと、トイレの床に突き飛ばし、

「何で……何で梢なんだよっ!! お前が……お前が死ねば良かったんだっ!!」

 と言いながら、今度は髪の毛を掴むと、床にグリグリ顔を押し付けた。

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