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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



「えぇ~電車通学をしている人なら、もう知っている人もいるかもしれませんが、昨日の夕方、2年C組の斎藤梢さんが、駅のホームに誤って落ち、亡くなるという悲しい事故がありました。まだまだ未来ある若い命がこんな形で失われるという事は誠に遺憾であり……」

 校長は悲しい表情になりながらも、事の真相を淡々と話していく。

 最初のうちは生徒達も溜め息をついたり、アクビをしたりして、まるで興味がないといった感じで退屈そうに聞いていたが、流石に“亡くなった”という言葉が出てきた瞬間、今までの態度が嘘の様に、体育館がざわつき始める。

「あぁっ!! 私それ知ってるっ!!」

「昨日そう言えば、夕方人身事故で電車停まってたみたいだったけど、あれってうちの学校の生徒だったのかよ……」

「俺、昨日斎藤が駅に向かう所見たぜっ! 何かかなりイカれてたけど……」

「薬でもキレたんじゃないの? 何かあの子いつも様子おかしかったし」

 コソコソと梢に対する様々な臆測が飛び交う。

 1人1人の声は大した事はないのだが、流石に800名の生徒が一斉に話すとかなりの音量になった。

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