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偶然からの必然

第3章 何でここに…

「遅くなりました、ご指名いただきありがとうございます。螺旋です。」

「本当にここで働いてたんだーみや…」

と、名前を呼びかけると口に手を当てられた。

そして、耳元でこう囁かれた。



「店では本名出しちゃいけない決まりなんスよ。だから、ここでは螺旋(らせん)って呼んで下さい。あと俺、千景先輩のこと呼び捨てで呼びますんで。そこんとこよろしくっス」


まさか雅くんがこんな行動を取るなんて、

思いもしなかった私は、少しドキドキしていた。




「本当にきてくれたんですね!あ、千景の友達の人まで…ありがとうございます。」

「随分律儀ね〜。千景の話だともっと子供っぽくてやんちゃなイメージだったんだけど?」

「それはしょうがないですよ、俺の方が年下ですし…」


いつもとしゃべり方とか

格好とか

行動とか


違いすぎて頭がついていかない。

本当に雅くんなのかと疑うくらい、別人に見える。




「え、螺旋別のバイト先じゃあそんなんなの?」

「ちょ…!翡翠さん!!誤解しないでくださいよ〜」


でもやっぱり、時々見せる可愛い仕草は同じだった。


「で、千景ちゃんと旭ちゃんは何の仕事してるの?」

「私は、大学卒業したあと兄が経営しているカフェで働いています。螺旋くんは、そこでバイトをしてくれてます。」

「私は普通にOLやってます。」


などと、四人で会話を弾ませていた。


お酒も少し飲んで、気持ちがふわふわしていた頃。



急に声がした。


「翡翠、そこ変われ!!」


「晴(はれ)?!お前他のお客さんどーしたんだよ!!」

「いいから変われ。俺のとこにきてる客はお前が相手しろ!!」


「強引だなぁ〜後で十六夜に怒られても知らないからね?」


そういうと翡翠さんはどこか言ってしまった。



私は翡翠さんに変われと言った人をみた。














一瞬、心臓が止まるかと思った。




















だってそこには、彼がいたからー。

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