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愛の嵐

第33章 心の関×心の緒=心の春

鼻歌が聞こえる
あっ、この曲、俺の好きな歌だ
お前の全てが俺だとするなら
俺の全てを

雅「お前にやるよ」

後ろから抱き締めた
子供の頃に抱き締めた以来かな
あの頃に比べたら大きくなったな
俺も和也も

和「ひゃっ・・ま、まさにっむぐっ」
雅「少し黙ってて」

和の口を押さえたまま抱き締めた
大人しくなった和はそっと包丁を置き
空いた手で俺の腕に重ねた

雅「和、お前本気なのか?」

コクリと首が縦に振られた

雅「家族だぞ!」
 「男だぞ!」
 「兄弟なんだぞ!」

全ての答えとして首は振られた
唇に掛かっていた指を噛まれる

雅「いっ、かず!」

緩んだ腕の中でクルリと身体を返し
今度は向かい合って抱き合う形になった

和「好きだよ。大好き!家族とか、男とか、兄弟とか。そんなん関係なくて・・・雅兄が好きなんだ!」

必死にしがみつく小さい身体が震えている
13㎝低い和は俺の胸に顔を埋めていた
その身体はか細くて折れそうだ

雅「そうか・・・関係ない、か」
和「雅兄がいれば俺はそれでいいの♥」

顔を上げ最高の笑顔をくれた
それまであった胸の中のモヤモヤが消える

雅「あぁ、そうかもしれないな」
和「雅兄?」

抱き締める腕に力を込める
越えてはいけない一線を俺は今越える

雅「お前が・・和也が好きだ!」

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