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愛の嵐

第42章 偶因×晴陰=衷懐

《和也時間》

王子の行く先々から女子の黄色い声が聞こえる
それを耳にする度避けるようにしていた
何故か身体が反応して逃げてしまう

大「お前・・なんかあったの?」
和「えっ?何が?何で?」
大「だってさ、逃げ回ってるだろ」

隣を歩く智は俺に振り回されている
方向を変える度に腕を引っ張っていたからだ

和「に、逃げてね~し!誰からも逃げん!」
大「いや、俺は誰からとか言ってないよ?」
和「あっ・・・」
大「まぁいいけどさ。文化祭なんだし、逃げんのも面白いけど楽しもう♪」

兄達、主に潤兄が楽しみにしていた文化祭だ
何が楽しみなのかは知らないが
俺にとってはただの鬼ごっこタイムだ!
勝手に逃げてるだけだけど

大「そういえばさ、体育館でイケメン投票の発表する時間だね」
和「興味ない!」
大「まぁそうだろうけどさ、俺は行きたいから付いて来てよ」
和「智がそう言うなら、仕方ないな」

渋々頷いて智の後ろを付いて行く
イケメン投票とか結果の分かった出来レースだ
そんなの見ても面白く無いのに何故智が行きたがるのかが分からなかった

和「なぁ、智」
大「か~ず~♪黙って付いて来てね~」
和「は、はい」

振り向いた智の笑顔が怖かった
正直に言えば行きたくない!
だって行けばあの人がいるはずだから
でも逆らってはダメな雰囲気を背中から漂わせている

大「ほら行くぞ!」
和「え~、なに?どこ行くんだ?!」
大「和が来ないとクラスの皆が困るんだからなぁ」
和「クラス?何それ、俺知らないし」

腕を掴まれたまま体育館の奥へと連れ込まれた
何をされるのか知らずに不安だけが俺を包んでいた

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