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愛の嵐

第42章 偶因×晴陰=衷懐

相「名前教えて♪」
和「やだ!」
相「え~っ、なんで?!」

肩を揺さぶられ脳も揺れる
細いくせに妙に力強くて、こんな状態なのにキュンとしてしまった
・・・って、違うだろ!
キュンてなんだよ!

相「名前教えてくれないなら、何て呼べばいいの?」
和「呼ぶ必要ないだろ?」
相「何で?呼ぶよ、普通に」
和「一目惚れじゃなかったんだから、もう会う事もないだろ!」

キョトンととして俺を見つめてくる
俺、変な事言ったか?

相「一目惚れだよ!間違いなく♪」
和「だって確認だって・・」
相「うん♪間違いなく一目惚れしてたって確認したよ!」

一瞬の間を置いて全身が熱くなるのを感じた
なにそれ、嘘だろ?!
王子が俺に一目惚れって、それって
・・・俺を好きだって事だよな?

和「嘘だ!」
相「本当だよ♪」
和「でも、そんな訳・・・」
相「だから、名前教えて♪また会えるように連絡先も教えてよ!」

あんた何言ってんの?
顔が熱い
掴まれた肩が火傷しそうだ
目の前にある王子の顔をまともに見れない
この状況と自分自身に限界が来た

和「もう無理!ム~リ~!!」
相「へっ?あっ、ちょっと~!」

覚悟して上がった部屋を逃げるように飛び出した
気付けばミュールもちゃんと履いてる
鍵はどうやって開けたんだろ?
分からないままに走っていた
必死に走って、走って、息が苦しくなって立ち止まった

和「はぁ、はぁ、ここ・・・何処??」

見渡しても見知らぬ通りにポツンと立ち尽くした
なぜだかとても冷静に鞄からスマホを取り出しナビを操作した

和「ふぅ~、良かった。家からそう遠くないんだな・・帰ろ」

さっきの事を忘れた訳じゃないのに
浮かれても可笑しくないはずなのに
夢から醒めた後のようだ
俺の頭の中は冷めた感じになっていた

和「俺は思春期に惑わされない!」

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