テキストサイズ

愛の嵐

第41章 擬議×啼哭=縁成

櫻「あのさ、一つ話ておきたい事があるんだ」
大「ん?なに?」

空き部屋で荷物を広げた智に近づく
言ってしまいたい
何年も積もりに積もった想いを吐き出してしまいたい

大「何だよ、話って」
櫻「あ、あぁ、俺は仕事が忙しいんだ。だからご飯とかお願いするかもだけど、大丈夫?」
大「そんな事か、大丈夫だよ。任しといて」

笑顔で応えてくれる智が好きだ
喉元まで出掛かった言葉を飲み込む
焦りは禁物!
時間はあるんだから、ゆっくり歩み寄っていこう
この数年を埋める為に

大「翔?」
櫻「うん?」
大「ありがとうな。住む家探す手間が省けたよ!持つべきものは親友だな」

ズキッと胸が痛んだ
突き刺さる『親友』という言葉
そこから抜け出したい
親友なんて言わないでよ

櫻「そ、そんな事改まって言うなよ」

智、俺は親友だなんて本当は思ってないんだよ
下心があって一緒にいたんだ
そんな事を言えば軽蔑されるかな?
それでも手に入れて、手放したくない

櫻「俺は我が儘だ」
大「俺はもっと我が儘だよ」

笑う智が眩しくて直視出来なかった


ストーリーメニュー

TOPTOPへ