
誠の華
第2章 小姓ってこんな感じなの?
何も言わず立ち上がった斎藤さん
上からジッと見つめられハッとした
私は小姓になったんだ
沖田さんの腕の中から抜け出そうと腰を浮かせ力を入れるも反対に押さえ込んで来る沖田さん
「お、沖田さん?」
離して下さいと言おうとして出来なかった
「嫌だ!!!!優さんを僕の小姓に「総司、諦めろ」」
土方さんの言葉にグッと唇を噛み締めた沖田さん
腕の力を込めた沖田さんに大きな溜息を吐き出した土方さん
「局長の決定だ......」
その言葉にビクリと反応した沖田さんは瞳を揺らしながら手を緩めてくれた
「行くぞ」
斎藤さんのその声にコクリと頷き部屋を出た
スタスタと無言で足を進める斎藤さんの後を追い足を動かした
そして一つの麩の前に辿り着くと戸惑うこと無く中へ入っていった
麩の前で立ち尽くす私に声が掛かる
「何してる.......早く入れ」
その言葉に恐る恐ると足を踏み入れた
窓から差し込む風景は茜色に染まっていた
どちらも話す事無くどれくらい時間が過ぎただろう耐えられなくて口を開いた
「あ、あの、小姓って何をしたらいいんでしょうか?」
ゆっくり振り返った斎藤さんの瞳にはパチクリと目を見開いてる私の姿
「ああ......」
暫く何か考えてた斎藤さんはおもむろに立ち上がった
「付いて来い」
と、淡々と喋り部屋を出た斎藤さんを慌てて追い掛けた私
歩くのが早くて必死で斎藤さんの背中を追い掛ける私に気付いたのか一度振り返り歩みをゆっくりにした斎藤さん
無愛想に見えるけど優しいんだとニッコリ笑いながら斎藤さんの隣に並んだ
