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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 王の想い出話では、当時、八歳と六歳であった二人は大人の眼を掠めて二人で王宮を抜け出したのだという。市を冷やかして様々な露店を眺めていた時、王が真戸那に安物の簪を買ってくれた。真戸那が物珍しそうに眺めていたのは、珊瑚の簪であった。
 夕陽の色を閉じ込めたような円い小さな玉がついた簡素なものだったが、真戸那はその日の想い出として今も大切にしているそうだ。

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