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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

―そなたの部屋の宝石箱にしまってあるはずだ。
 王に教えられ、藍那は自室の宝石箱を開けてみた。すると、本当に彼の言葉通り、小さな珊瑚玉の簪が出てきた。
 その時、藍那は、まだ見たことのない自分と同じ顔をした王妃に言いしれぬ苛立ちを感じた。
 真戸那は長い年月を彼と共に過ごし、彼のかけがえのない存在となっている。自分は所詮、他の時代から飛ばされてきた一時の身代わりにしかすぎない。

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