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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 十八年間生きてきて、初めてのキスだった。ファーストキスは呆気ないくらい早く終わった。まるで蝶の羽根が掠めて通り過ぎたくらいの儚さで。
 またしても藍那はもう少しキスしてしい欲しいと瞬間的に考えしまい、自分のあまりのはしなたさに一人で紅くなった。
 まだ初めてのキスの余韻に浸っていると、王が不安そうな顔で空を仰いだ。
「真戸那、そろそろ戻ろう。どうやら、ひと雨来そうだ」

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