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恋して桜!

第3章 もしも、近藤さんに惚れたら…

*近藤さんオジサン呼ばわりです。
すみません。悪気はありませんが、
嫌な方は回れ右して下さい。



「おお、此方へ座ってくれ。」
そう声をかけてきた、オジサンと言うには若い、けど…雰囲気が落ち着いていて
体格のがっしりした人の良さそうなオジサンと、

歌舞伎役者の様な綺麗な人が上座に、
あとは既に酔って出来上がっている人が…
騒ぎ始めている。
これは今日は飲ませれば床は逃げられるかも…なんて思ってしまった。


「ああ、うちの奴らが五月蝿くしてすまない。なかなか、こう羽根を伸ばせる事も無いから多目に見てやってくれ」と頭をポリポリ掻きながら私に詫びるオジサン…

「近藤さん!余計なことまで言わなくていい」

ぴしゃんっと、上座にいる者だけが分かるくらいの声の大きさではあるが
ハッキリと、歌舞伎役者みたいな人がオジサンに言った。

「トシ、今日は無礼講だがうちの連中は賑やか過ぎるから、お嬢さんに一言詫びておいてもいいと思うぞ。」

座敷に来るなりびっくりしてしまった私だが、
挨拶もしていないのに気付き、急いで挨拶をする。

『明桜申します。今宵はごゆるりと、宜しくお願いいたしますえ』
慣れない言葉での挨拶にすぐ勘付いたのは歌舞伎役者みたいな人。

「お前、まだ日が浅いのか?」

!!!

なんでこんなにスグ暴露たんだ!と焦ってしまったが、
オジサンが助け舟を出してくれた。

「そうか…それなら俺達の席に付き合わせるなんて悪いことしたな。
あんまり気負わずゆっくり楽しんでくれ」
とニッコリ笑うオジサン。

『ありがとうございます』

ペコっとお辞儀して、オジサンにお酌を始めた。

「俺は近藤勇。となりは土方歳三。俺達は新選組だ。
京の人にはあまり快く思われていない所もあるが…
俺達なりに京を守っている。
困ったことがあったら声をかけてくれ。」

なんだか懐かしい言葉遣いと、亡くなった父の様な温かさに親しみを覚えた私だった。

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