
パパとママのタカラモノ。
第5章 病の発覚。
出産4日め。
出産後初めて担当医が病室に来た。
「どうですか?体調の方は?」
奈央「お腹が痛くて立てない‥。風くんの世話も出来てない‥。私、ママ失格です‥。」
最後の方は涙で上手く喋れなかった。
「そっかぁ..でも自力で座れるようにはなったんだよね?」
奈央「はい‥何とか。」
「なら明日、ご主人さんに来てもらえるかなぁ?ご夫婦揃って、聞いていただきたいことがあるんです。」
奈央「明日ですか‥分かりました。あっでも、休みがとれなかったら親でも良いですか‥?」
「できれば、ご主人さんの方が良いけど、急だからねー。大丈夫ですよ。」
それでは、また夜来ます。
傷口が痛いでしょうけど
なるべく動くようにしてください。
動いた方が傷の治りも早いですよ。
そう言い残して、
先生は自分の持ち場へと戻って行った。
病室に1人残された私は
嫌な予感がしていた。
風くん、まさか耳が
聞こえてないんじゃないかって。
というのも、産後当日の夜、
義理のお父さんが面会に来てたので
風くんを他の赤ちゃんと一緒に預けて
窓ガラス越しに見てた時、
10人くらいいる赤ちゃんは
全員泣きわめいていたのに
風くんはキョトンとした顔で
時折笑顔を浮かべながら寝ちゃったの。
義理のお父さんは
「大したモンだ笑)大物になるぞ、風真は。」
と褒めてたけど
あれからも義理の妹や
私のお母さんが来てくれた時も
両隣の赤ちゃんは
ギャン泣きしてるにも関わらず
風くんは泣かずに大あくび。
チラッと隣で寝ている
風くんを見つめた。
奈央「風くん。」
呼びかけると
「フギャァ..」
たまたまなのか
声を出した。
ママの声、聞こえてるよね‥?
ママの気のせいだよね‥?
