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パパとママのタカラモノ。

第5章 病の発覚。

智ちゃんが来たときにも
私は痛みに耐えながら
トイレに行く途中で、

ついさっきまで看護師さんが隣で
付き添ってくれていたけれど
ナースコールが鳴って
他の病室へと行ってしまっていた。


智也「奈央、到着~。いやぁ道混んでてさぁ‥って、だ、大丈夫か?」


そう言って私の身体を
支えようとしてくれた
智ちゃんに私は‥


奈央「余計なことしないで!!!」


痛みと寝不足とストレスの
八つ当たりで怒鳴ってしまった――

固まる智ちゃんに
私は何も言えなかった。


奈央「何で私だけ‥。」


気が付くと声に出していた。


智也「奈央‥?」

奈央「何で私だけ、こんな痛い思いしなきゃいけないの!?男はずるい!!あんた達男は(精子を)出すだけじゃん!!あとは全部女任せでさ!!あの痛い点滴も、まっずい病院食も、夜泣きの睡眠不足も男には一生分かんないよ!!智ちゃんは飲み会行けて良いね!好きな仕事続けられて良いね!新婚生活は僅か1週間だし、こんな痛いって聞いてない!!」


あまりの痛みで私の頭は
パニック状態だった。

本当はこんなこと言いたくない。


「遠いとこ来てくれて、ありがとう。」


そう言いたかったのに..。

訳が分からなくなったのと
痛みでしっかり立てなくて
顔はもう涙でグチャグチャ。

壁際の手すりを
握り締めることで精一杯。


智也「無理しなくても‥。」

奈央「何言ってんの?無理しなきゃ、トイレ行けないじゃない!!ここで垂れ流したら、拭いてくれるの!?早くしないと風くんが起きちゃう!!早くしないと‥早く‥。」


同じ日に
帝王切開をされたママさんは
もう歩いていると聞いた。

私は出産後、
一度も病室から出ていない。

そもそもベッドから
起き上がるのがやっとの私に
病室を出ろということに無理がある。

けど私は焦っていた。
退院まで後4日しかない‥。

こんな状態で退院できるわけがない。


奈央「悪いけど‥今日はもう帰って‥。」

智也「けど‥、」


渋る智ちゃんの背中を押して


奈央「もう傷付けたくないから‥。お願い、今日だけ我が儘聞いて‥。」


智ちゃんは渋々といった感じで
頷いて、「また来るよ」と言って
帰っていった。




智ちゃんが帰った後、
私はベッドに潜り込み布団を被って
子供みたいに泣きじゃくった。

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