
パパとママのタカラモノ。
第5章 病の発覚。
出産5日め。
前日に智ちゃんに電話で
有給を使ってもらうようにお願いをして、
翌日のお昼過ぎには病室に
智ちゃん、義理のお母さん、
私のお母さんが揃って
先生が来るのを待っていた。
先生は13時過ぎに病室へと来た。
「すみません、遅くなりました。えーっと、どうしようか?別室に行く??斎藤さん、歩ける?」
奈央「いや‥まだ無理だと思います‥。」
「ならここで話しましょうか。個室だし、広いし。ね?」
「「お願いします。」」
お母さん2人が頭を軽く下げた。
「今日、わざわざお越しいただいたのは、他でもない風真くんのことです。‥あ、風真くんは看護師が見ていますので、ご心配なく。」
心臓がやけに煩い‥。
「ご主人さんには、既に簡潔に説明しているのですが、」
奈央「えっ?何それ、どういうこと??」
智ちゃんを見るも
最後まで話を聞けと
言わんばかりの表情。
「単刀直入に言わせて頂きますと、風真くんの目はこれから先、もしかしたら現在も、見えていない確率が高いことが分かりました。」
「「えっ‥‥。」」
お母さん2人の声がハモッた。
「まだ産まれて数日なので、正確なことは言えませんが、黒目が濁っているのは、ご存じでしょうか?」
首を左右に振るお母さん達の前で
智ちゃんが口を開いた。
智也「俺は‥気付いてました。初めて抱っこした時、あれ?目が白いな。とは思いました。」
「智也、何でそれを早く言わないの!」
智也「いや‥だってさ、」
「治るんですか!?」
智ちゃんの言葉を遮り
義理のお母さんが身を乗り出すと
「原因は何ですか‥?」
お母さんは控えめに質問をした。
「すみません。当院には小児専門の眼科医師がいない為、原因はおろか、詳しい検査をすることが出来ません。」
「そんな‥。それじゃあ、どうすれば‥。」
お母さんの声が
徐々に涙声に変わっていく――
