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パパとママのタカラモノ。

第4章 出産。




お昼を食べた家族が
病室に戻ってきた。

そこへ入ってきた看護師さん。


「斎藤さん、14時が来たので、そろそろ点滴しましょうか。」


あの痛いやつです(´c_`;)


「大丈夫!今日は私達だけじゃなく、師長もいるから。ねっ!?」


半泣き状態の私を見て
フォローにもならないフォロー。


(そんなの、失敗する前提の話じゃん‥。)


その間にも
病室へと運び込まれてくる
医療機材の数々。

ドクドクドク..
心拍数が上がってくる‥。


「それでは刺しますよ~?」


腕に針が入ってきた。


奈央「~‥ッ!!!」


痛すぎて声にならない。
身体が強張ってしまう。


「斎藤さん、力抜きましょうか~。」

奈央「嫌ッ!!痛い、痛い!!」


病室に私の泣き叫ぶ声が響いた。


「手の空いてる人は、斎藤さんを押さえて!!!」


師長さんが叫ぶ。


「すみません、ご家族の方は後ろの方で見守って頂けますか?」


そう言われて
2、3歩下がる家族の中に
涙目でハンカチを握り締めた
お母さんの顔が見えた。


智也「奈央‥??」


何だか、身体が急に‥


「奈央!?顔が真っ青だけど、どうしたの!?」


一旦は後ろに
下がっていたお母さんが
ベッドに駆けよってきた。


奈央「‥さむ‥い‥。」


身体がガクガクと震える。
歯がガチガチと鳴った。
寒い、寒い、寒い!!!


「斎藤さん!!?湯タンポ、あるだけ持ってきて!!あと、冷房の温度上げて!!」


師長さんに
指示を受けた看護師さん達が
バタバタと病室を出入りしているのを
薄れる意識の中でボンヤリと見てた。



――
―――――
―――



「斎藤さん!!!」

「奈央!しっかりして!」


誰かの声で目が覚めた。
と同時に両腕に激痛が。


「師長!!点滴を入れる血管が、もうありません!!!」


またあの時と同じだ‥。


「手術開始まで後15分しかないです!!」

「諦めずに探して!!」


まだ15分もあるのか‥。

私のベッドの周りは
7人の看護師さんが囲んでいた。

家族の姿は見えない。


奈央「痛い‥もうやめて‥。」


私はもう限界を越えていた。


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